機械学習 x 味覚 のおはなし

IT

新型コロナウイルスの感染で、他の症状がなくても、においの異常(嗅覚障害)やあじの異常(味覚障害)を自覚することがあるようだ。

アレルギー性鼻炎などで鼻が詰まる場合、誰にでも起きる。

このような症状が発生すると、実生活に大きな制限を起こすことになりうる。
例えば、腐った食品をかぎわけることもできない。

自動運転が将来タクシー運転手の仕事をうばってしまうなど言われているが、他にも影響がありそうだ。

ソムリエや品質管理の仕事も、機械があなたに代わって仕事をしてくれる時代がくる。

機械学習とは

機械学習とは何か。

それは、コンピューターにデータを読み込ませて、アルゴリズムに基づいて分析させる手法だ。

事例となるデータを反復的に学ばせることで、そこに潜む特徴やパターンを見つける。

そして、見つけた特徴を新しいデータに適用することで新しいデータの分析や予測を行うことが可能になるわけだ。

特に所定の数式や方程式が存在せず、大量のデータセットと多数の変数が含まれている複雑な課題がある場合は機械学習が有効だ。

一番のメリットは、あなたに代わって、文句も言わずにどんどん学習してくれることだ。
そして、人間が数ヶ月かかる仕事も数秒で判断してくれる。

視覚・聴覚の機械学習

コンピューターに、画像が「犬」なのか「猫」なのかを判別させたい場合には、このようにする。

「犬」や「猫」とすでにラベルが付いた画像を大量に与える。

そして、「犬」と「猫」それぞれの特徴を学習させて、ラベルのない画像を入れても正しくの判別ができるようにする。

音についても、自然音やノイズの種類、大きさ、周波数などを分析し、その上でノイズ除去や音判別なども行う。

顔認識や音声認識のように、方程式では複雑すぎる場合には、機械学習のほうが適している。

嗅覚・味覚の機械学習

においや味は、どうやって見分けているのか。

複雑な液体には非常に多くの異なる分子が含まれている。
各成分を別々に感知してそれらを識別することはむずかしい。

そこで、IBMのHypertasteという人工の「舌」は、電極のペアで構成される電気化学センサーを使用する。

各センサーは、測定が容易な電圧信号によって分子の組み合わせの存在に応答する。

こちらが持ち運び可能な「電子舌」だ。

センサー部分を液体に漬ける。

すると、センサーが人間の「味」や「におい」の感覚に似た組み合わせパターンから液体の化学パターンを認識する。

収集されたデータは端末上もしくはクラウド上の訓練された機械学習アルゴリズムで分析される。

機械学習アルゴリズムは液体データベースの中から検査中の液体と最も科学的に類似しているものを判別し、モバイルアプリ経由で表示するというわけだ。

分析結果が出るまでの時間は、なんとわずか1分足らず。

一方、Aromyxという会社は、全く異なった方法でにおいを嗅ぎ分ける。

402の嗅覚受容体(Olfactory receptors)を使用し、1兆以上の異なる匂いの組み合わせを嗅ぐことができる。

Aromyxは、バイオセンサーでこれらの同じ生物学的受容体を使用して、嗅覚データのデジタル表現を作成する。
日本では、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社だけが取り扱っているようだ。

しかし、多くのユーザにとって謎だらけなので、twitterの「いいね」はゼロだ。
認知されるのは、数年先になるだろう。

今後の応用

食品会社や飲料会社向けの品質管理をはじめ、様々な業種に活用ができそうだ。

例えば、コーヒー豆の品質管理も、すぐれた味覚や聴覚がなくても誰でも実施可能になる。

さらに、遠隔地にお住まいの患者さんの尿検査などもできるようになる。

その他、井戸水や雨水の水質検査など、off the gridの環境で生活するひとにも安心をあたえるだろう。

まとめ

花粉症などで「味」や「におい」の感覚が低下しても、心配無い。

なぜなら、近い将来あなたに替わって人工の「舌」や「鼻」が品質管理してくれる時代がくるからだ。

さらにセンサーの小型化にともないリモートワークでの実用性も拡大するだろう。

時代は、どんどん進化している。

参考文献
  • Communications of the ACM, April 2020, Vol. 63 No. 4, Pages 16-17
  • https://www.ibm.com/blogs/research/2019/07/hypertaste-ai-assisted-etongue/
  • https://www.aromyx.com/

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