日本では、どこへ行っても温泉があるというイメージがあります。その理由は、温泉地が2020年時点で、2,971ヵ所、源泉総数が約2万8,000あるからです。温泉地の数は、1位の中国は約3,000、3位のトルコは474、4位アメリカは約400となっており、まさしく日本は温泉大国です。
温泉とは?
温泉とは、「地中からゆう出する温水、拡水及び水蒸気、その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)」で、「温度が摂氏25度以上」または「25度未満でも、定められた19種類の物質のいずれかが規定量以上含まれるもの」と温泉法で定義されています。19種類の物質とは、次の成分を指します。(含有量は1kg中)
- 溶存物質(ガス性のものを除く。) 総量1,000mg以上
- 遊離炭酸 (CO2) 250mg以上
- リチウムイオン (Li+) 1mg以上
- ストロンチウムイオン (Sr2+) 10mg以上
- バリウムイオン (Ba2+) 5mg以上
- フェロ又はフェリイオン (Fe2+,Fe3+) 10mg以上
- 第一マンガンイオン (Mn2+) 10mg以上
- 水素イオン (H+) 1mg以上
- 臭素イオン (Br-) 5mg以上
- 沃素イオン (I-) 1mg以上
- フッ素イオン (F-) 2mg以上
- ヒ酸水素イオン (HAsO42-) 1.3mg以上
- メタ亜ひ酸 (HAsO2) 1mg以上
- 総硫黄 (S) [HS-,S2O32-,H2Sに対応するもの] 1mg以上
- メタホウ酸 (HBO2) 5mg以上
- メタけい酸 (H2SiO3) 50mg以上
- 重炭酸ソーダ (NaHCO3) 340mg以上
- ラドン (Rn) 20×10-10Ci以上
- ラジウム塩 (Raとして) 1億分の1mg以上
温泉の種類について
単純温泉
温泉は25℃以上あっても、含まれる成分がどれも規定量に達しない温泉。無色透明で無臭。体への刺激が少なく、効能も様々で、日本に最も多い泉質です。
下呂温泉、道後温泉、伊東温泉、鬼怒川温泉、湯布院温泉などが有名です。
硫黄温泉
卵を腐らせたことはありませんが、卵が腐ったような硫化水素ガス特有の匂いがあります。源泉やガスの噴気口には黄白色の硫黄が結晶し、「湯の花」になります。解毒作用や皮膚をなめらかにする働きがありますが、刺激が強いため、湯あたりに注意が必要です。
登別温泉、白骨温泉、昼神温泉、酸ヶ湯温泉などが有名です。
塩化物温泉
海水の成分に似た食塩を含んでいる温泉。日本では単純温泉に次いで多い泉質です。
熱海温泉、山代温泉、四万温泉などが有名です。
禁忌症
温泉成分の記述の下によく目にするのが「禁忌症」です。禁忌症とは、温泉に入ることによって身体に悪い影響を来す可能性がある病気を指します。「一般的禁忌症」とは、温泉に含まれる「泉質」や「含有成分」に関係なく、すべての温泉に共通する禁忌症という意味です。そこには、「悪性腫瘍」、つまり「がん」を挙げています。
なぜ、がん患者は温泉に入ってはいけないのでしょうか。
明治19年の「日本鉱泉誌」(内務省衛生局編)に、以下のような記述があるそうです。
「肺結核、慢性肺炎の末期、壊血病や癌腫のように重症で全治を期待できない者は自宅で静養するのがよい。温泉地へ行くまで体がもたなく、却って命を縮めることになる」
「温泉地へ行くまで体がもたなく、却って命を縮めることになる」とは、交通機関や医療の未発達な時代に考えられたみたいです。
令和4年の時点では、この禁忌症が改訂がされているみたいですが、それでも多くの温泉地は、古い記述のまま掲載していることが多いのが実情かと思われます。
温泉の引き方
自宅でも温泉に入りたいと願う方も多いかと思います。
「そんなの無理でしょ!」と諦めるのは早いです。理由は、日本には源泉総数が2万8000もあるので、場所によってはスコップで地面を掘るだけで、温泉が沸くところもあります。
そんなラッキーな場所を手に入れることは困難ですが、すでに温泉を供給しているエリアであれば、配湯権を購入し、自宅に引き込むことができます。
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