内閣府の世論調査から5492人が回答した「働く目的」を分析してみよう。
「世論調査 > 令和元年度 > 国民生活に関する世論調査 > 調査結果の概要の (2) 働く目的は何か」の調査結果から新型コロナウイルスのパンデミック前の状況について整理してみよう。
そして、この働く目的の調査結果には、見逃せない落とし穴があると考えられる。
働く目的は何か(年代別)
まずは年代別に分けたのが下のグラフをみてほしい。
すべての年代で「お金を得るために働く」が第1位なのは同じだ。
70歳以上になると「生きがいを見つけるために働く」「わからない」が大きく回答を伸ばしている。
4割近くの70歳以上のひとが、お金のために働いている。
このなかには、お金がなくても生活できるひと、そうでないひとがいるので、目的が大きく異なってくる。
このグラフでは、大事なポイントが抜けている。
それは、働く目的をたった5つに絞り込んでいることだ。
他のサイトでは、与えられたデータを詳細に分析している。もちろん、参考になる点も大いにある。
しかし、よく考えてほしい。
働く目的は、ホントに5つしか存在しないのか?
働く目的は、5つしかないのか
実は働く目的は、5つ以上存在する。
「当たり前じゃないか!」と怒る人もいるだろう。
しかし、人は選択肢を与えられると、その中から選ぼうとするのだ。
理由は、非常に簡単で、深く考えなくて済むからだ。
もう一度、内閣府の五択を検証してみよう。
- お金を得るために働く
- 社会の一員として、務めを果たすために働く
- 自分の才能や能力を発揮するために働く
- 生きがいをみつけるために
- わからない
この選択肢には、おかしな点がある。
お金は手段。目的ではない。
お金の先には、実は様々な本当の目的が隠れている。
例えば、「将来の不安を解消したい」、「社会的ステータスを得たい」、「嫌いな仕事を断りたい」、「社会に貢献したい」、「人と関わりたい」などなど。
お金はとは何か
ハーバード大学経済学部教授のグレゴリー・マンキューは、お金を次のように定義している。
Money is the set of assets in the economy that people regularly use to buy goods and services from each other.
Principles of Economics
つまり、お金は、人々が商品やサービスを相互に購入するために定期的に使用する経済の資産のセットだ。
そして、お金には3つの役割がある。
- 交換手段
- シャツを買うために店に行ったとする。店はあなたにシャツを与え、あなたは店にお金を渡す。
- アカウントの単位
- 買い物に行くと、シャツは30ドル、ハンバーガーは3ドルかかるとする。シャツの価格は10ハンバーガーであり、ハンバーガーの価格はシャツの1/10であると言っても正確だ。しかし、価格がこのように見積もられることはない。経済的価値を測定して記録するときは、お金を勘定の単位として使用する。
- 価値の蓄え
- 商品またはサービスと引き換えに売り手が今日お金を受けとる。その売り手はお金を保持し、別の時に別の商品またはサービスの買い手になることができる。
お金は、上記の役割以上でもそれ以下でもない。
お金に惑わされてはいけない
お金に惑わされてはいけない
お金で仕事を選んではいけない。
いくら給料が高くても、あなたの健康を害する仕事はやめたほうが賢明だ。
なぜなら、お金は働く目的にならないから。
あなたは休みなく一生懸命働き、お金をたくさん稼いだ。
しかし、運悪く使う間もなく亡くなった。
果たして、働く目的を達成したと言えるだろうか。
まとめ
働く目的は、人によって様々だ。
ましてや、内閣府から提示された五択から選ぶものでもない。
そして、お金は手段であって、働く目的ではない。
そして仕事選びは慎重に。
参考
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