アマゾンプライムでも高評価で、インドで興行収入歴代ナンバーワンを記録する大ヒットとなったコメディドラマを観てみました。
インド屈指のエリート理系大学を舞台に、型破りな自由人のランチョー、機械よりも動物が大好きなファラン、なんでも神頼みの苦学生ラジューの3人が引き起こす騒動を描きながら、行方不明になったランチョーを探すミステリー仕立ての10年後の物語が同時進行で描かれる映画です。
インドでは医者かエンジニア
日本では考えられませんが、インドでは「将来は医者かエンジニアになれ。いい稼ぎをして、親の決めた人と結婚しろ。」というプレッシャーが両親から子どもにあるそうです。
他にも魅力的な仕事はあると思いますが、何故かエンジニアなのか気になる人もいるでしょう。
背景には、インドでは1950年にカーストという身分制度を理由にした「差別行為」を禁止していますが、カーストそのものは禁止対象ではなく、人々の間で受け継がれているのです。
つまり、産まれた身分によって就ける職業が決まっており、たとえ努力をしても大幅に収入を上げることが困難なのです。
しかし、カースト制度を決めた時には、IT産業が存在しなかったので、エンジニアという身分は定義されておらず、誰でもなることができるのです。
誰でもなることができると、より多くの人が志願するようになります。
すると競争が激化し、過度なプレッシャーが子どもにかけられるという循環になるそうです。
こころの声
本当かどうかわかりませんが、映画の中では点数にこだわるあまりインドでは90分に1人の学生が自殺をするそうです。
生徒を過酷な重圧にさらしている社会構造にも問題があると指摘されています。
この映画では、ファランとラジューは最高峰の大学に入学したゆえに、過度なプレッシャーを家族から受けることになります。
ファランは、動物好きで写真家になりたい夢があるにもかかわらず、両親からの期待で入学してしまうのです。
しかし、ランチョーは言ったのです。「動物が好きなのになぜ機械と結婚するんだ。」
「成功を求めて勉強してはいけない。成功の背中を決して追うな。美徳に従えば成功は自ずとついてくるものだ。」
そして、採用面接の当日にファランは、父親にそれまで隠してきた写真家になる夢を打ち明けたのです。
理解してくれた父親は、お祝いに用意したパソコンを返して、カメラを買ってくれたのでした。
このように本当にやりたいことがあるにもかかわらず、点数や将来性だけで専攻を決めてしまうと、ファランのように4年間遠回りしてしまうこともあります。
そうなる前に、使用する教科書などを数冊立ち読みしたり、大学の専攻のホームページをチェックして自分が進みたい道かどうか決めてみるのもいいかもしれません。
そこで、「あれ?これは自分がしたいことではない。」と思ったら、その時点で方向性を修正すればいいのです。
まあ個人的には、ファランは大学でかけがえのない友人と出会い、多くのこと学んだので決して無駄ではなかったと思います。
ランチョー
自由奔放なランチョーは「学問」ではなく、「点の取り方」を教える教育方針に疑問を覚え学長と真っ向から対立していくのです。
一方、教科書を丸暗記するだけで試験は高得点だけど、全然学問が身についていないチャトルのような生徒も実際にいると思います。
意味を考えずに丸暗記するチャトゥルのスピーチ原稿にいたずらをして大勢の前で恥をかかせ、チャトゥルのようにならないようにと友人にメッセージを送ったりするのです。
また、こうも言ったのです。「ムチを使えばライオンも芸をする。でもそれは訓練で教育じゃない。」
自分で考え、知識を増やすことよりも、教科書から答えを探すこと自体に躍起になっていた生徒たちに向かってランチョーが言った言葉です。
思わずハッとさせられた教師もいるのではないでしょうか。
まとめ
この映画は3時間と長編ですが、作品のなかに人生に役立つ明言や名シーンがたくさん登場します。
また登場人物のキャラも個性的なため、さまざまな角度から楽しめます。
スティーヴン・スピルバーグは「3回も観るほど大好きだ」と絶賛し、インド以外でも高い評価を受けています。
もしよかったら、鑑賞してみてはいかがでしょうか。
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